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わらび狩り

友達のフェースブックでわらびとタケノコの煮物の写真を見て、
ふと、父のことを思い出した。

この時期になると、父は毎日のようにわらびとたけのこの煮物を食べたがった。
あんまり食べ過ぎて、吹き出物が顔にできるぐらいの好物だった。
一度一緒に散歩してて、どこかのおうちの庭から山椒の葉っぱが道に出ていたりすると、
「タケノコに入れてもらおう」って言って、
1~2枚失敬するぐらい。この時期はずっとタケノコのことを考えていたらしい。
ちなみに父は教員。娘の前でそんなことするかって思ったけど、あんまり罪悪感はなかったような。

そんな父が一度だけわらび狩りに連れて行ってくれた。
知り合いの人が穴場を知っているというなんだかとてもあやふやな状態で、
その場所にも迷いながら行ったことを覚えている。わたしは中学生ぐらいだったかな。
とても天気がよくて、紫外線のアレルギーのあるわたしの目にはとてもつらい状況だったけど、
父親のサングラスを借りて、その場所で2時間ぐらいわらびを採ったように記憶している。
その間も父は無心に採り続けるだけで、特段話もせず、休憩も取らずだった。
わたしは日陰で、サングラスをしてみる空の色と、裸眼の空の色の違いを
サングラスをしたり、外したりして楽しんでいた。せっせとわらびを採る父を遠目に眺めていた。

それでそれこそ大きなビニール袋にいっぱいのわらびを採って
父は上機嫌だった。
帰宅してから母はそれを大きな鍋であく抜きして、
それから味付けしてと大変な作業で、こちらはなんだかちょっと不機嫌に。

それから毎日のようにわらびの料理が続いたのだけど、
昔の家だから、父の好物だから誰も文句も言わず、ひたすらそれを食べるわけ。
わらび狩りに連れて行ってもらったのは1回だけだけど、
毎年どこからか大量のわらびがこの時期にはうちにやってきていて
そうしてみんなが吹き出物だらけになるころに、食材が尽きるというサイクルだった。
たけのこも同じようなサイクルでやってきた。

父はそのほかに好物ってなくて
酒を飲むほかはそういう山菜みたいなものを食べていた。
酒を飲み始めると、ほとんどご飯は食べず、しかも少しの酒(大人になってから気づいたんだけど)で
すぐ酔っぱらっていた。
酔ってない父はやさしい人だったけど
酔った父は別人だった。

父が亡くなってもう30年になる。
わらびもあれからぱったりと食べなくなったなと今日みたいな日には思い出す。

ちなみに5月は父の誕生月だな。

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