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葵の上/卒塔婆小町

先日、銀座に美輪明宏さんの芝居「葵の上/卒塔婆小町」を見に行った。
この作品は、三島由紀夫の「近代能楽集」からとられた芝居だが、
能の中の題材をつかって、三島が作品にしているものだ。

能というのは、男性が演じる世界で、まさに「男による美学」の世界だと私は思う。
私の乏しい知識では、能面というのは、人間の世界とあの世だとか、
この世ならぬ世界との境界を表しているようで、
能面をかぶった人が登場すると特異な世界が展開しているという意味だと思われる。
その際の笛とか、鼓とかの独特な節回しというか、
尋常ならざるもののスリリングさを感じると同時に
美しさというのも同時に表現されている気がする。

さて、三島の近代能楽集。
彼の特異な女性観というか、恋愛観が表現されていて
なかなか面白い芝居なのだけど、
これは美輪さんしか演じられないかもしれない。
彼の女性観のなかの女性は、生身の女性の一部分を表現しているんだけど
それは、もう「女性」ではないんだよね。
性別の喪失と同時にすでに冥界のもののような気がする。

そんな女性は美輪さんだけしか演じられない。

「葵の上」は、源氏物語からとられた話で、年上のあまり好きでない妻が、自分のかつて交際していた六条御息所の生き霊にとり殺されるという筋はそのままに、現代劇仕立てになっている。
まあ、生き霊になっても、すがってくる女性というのが、三島にはとても恐怖だったのか
そういう怖さが全面に出ていた。

「卒塔婆小町」能で、小町ものというのは、けっして小町を賛美しない。真逆で、百夜通いしていた少将が九九夜めに死んでしまったことに対して、ものすごい嫌悪感があるらしく、小町をけちょんけちょんにけなし、年をとって、老醜をさらすものとしてかならず描く。己の美しさを武器にした女性に対して、ものすごい復讐が能のなかで行われている。描かれる小町は町をさまよい、ひたすら醜く。しかも、少将の霊に苦しめられる。
美輪さんの芝居の方は、老婆と美しい貴婦人の早変わりが面白い。こちらの方はいつまでも、生まれ変わる少将と何度も出会い、またそれが失われるというのを繰り返させられるという筋になっている。

三島の女性観に触れたい人はお勧めします。

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